「現場のOJT、なんだかうまくいっていない気がする…」
人事担当者として、あなたは自社の新人・若手育成に、そんな漠然とした課題を感じてはいませんか?
OJT指導担当者に任命されたエース社員からは、「自分の仕事で手一杯で、教える時間がありません」という悲鳴が聞こえてくる。一方で、新人からは「指導担当によって言うことがバラバラで混乱します」「放置されていて、何をすればいいか分かりません」という不安の声が届く。

「OJTは現場の仕事だから」と、育成を現場任せにしてしまう。 その結果、指導者の善意と自己犠牲に依存した、属人的で場当たり的なOJTが横行していないでしょうか。
この「現場任せOJT」こそが、指導者のバーンアウトを招き、新人・若手の成長を妨げ、最悪の場合、早期離職を引き起こす静かな時限爆弾なのです。
この記事では、そんな危険な状況から脱却するために、人事部が主導すべき「効果的なOJT指導者研修」の企画のヒントを、具体的な3つの柱でご紹介します。
なぜ? あなたの会社の「現場任せOJT」が危険な3つの理由
まず、OJTを現場に丸投げすることが、どれほどのリスクをはらんでいるのか。その実態を直視することから始めましょう。これは、現場の誰かが悪いという話ではなく、仕組みの問題なのです。
理由1:優秀な指導者ほど、疲弊し潰れてしまう
OJT指導者に任命されるのは、多くの場合、プレイヤーとして優秀なエース社員です。彼らは責任感が強いため、自分の仕事も、部下の育成も、完璧にこなそうとします。その結果、業務量が爆発的に増加し、心身ともに疲弊してしまうのです。最悪の場合、優秀な社員がバーンアウトし、休職や離職につながるケースさえあります。
理由2:指導のバラつきが「育成ガチャ」を生む
体系的な指導法が共有されていないため、OJTは完全に指導者のスキルや価値観に依存してしまいます。丁寧に寄り添って育てる指導者もいれば、「見て盗め」スタイルの指導者もいる。この指導のバラつきは、新人が「どの指導者に付くか」で成長が大きく左右される「育成ガチャ」とも言える不公平な状況を生み出します。
理由3:新人のエンゲージメントが低下し、早期離職につながる
放置されたり、高圧的な指導を受けたり、あるいは指導者自身が疲弊している姿を目の当たりにしたり…。そんな環境で、新人が「この会社で頑張りたい」と思えるでしょうか。OJTの失敗は、新人のスキル習得が遅れるだけでなく、会社への信頼や働くことへの意欲(エンゲージメント)そのものを削ぎ落とし、早期離職の引き金になるのです。

うわ…現場のOJT担当者って、こんなに大変な思いをしてるんだね。私たちがもっと仕組みでサポートしないと、善意に甘えているだけになっちゃう!



まさにその通りだ。「育成は現場の仕事」という考え方そのものを見直す時期に来ている。これはもはや個人の資質の問題ではなく、会社全体の「仕組み」の問題なんだ。
OJTの失敗は、現場の指導者の責任ではありません。「育成の仕組み」がないまま丸投げしてしまっている、会社側の構造的な問題なのです。
育成力を底上げする!効果的な『OJT指導者研修』3つの柱
では、人事部として、この状況をどう打開すればよいのでしょうか。その答えが、効果的な「OJT指導者研修」の導入です。目指すべきは、誰が指導担当になっても、一定水準以上の育成が実践できる状態。そのために、研修には以下の3つの柱が必要です。


OJT第1の柱:『マインドセット』を転換させる(意識改革)
まず最も重要なのが、指導者自身の意識改革です。スキルを教える前に、OJT指導者としての「心構え」を伝えます。
- 役割の転換: あなたの役割は「教えるスタープレイヤー」ではなく、「部下が育つのを支援するサポーター」である、と定義し直します。
- 完璧主義からの脱却: 「完璧に教えなくてもいい」「部下の失敗は成長の糧」という考え方を伝え、指導者の心理的負担を軽くします。
- 多様性の受容: 自分たちの世代の「当たり前」が通用しないことを伝え、部下の価値観を理解し、尊重する姿勢を促します。
OJT第2の柱:『具体的な型』を提供する(スキル提供)
次に、どんなに忙しくても、誰でも実践できる、シンプルで具体的な指導の「型(スキル)」を提供します。感覚頼りの指導から脱却するための「武器」を渡すのです。
- 計画の型: 3ヶ月後の具体的なゴールを、部下・上司とすり合わせる「ゴール設定」の方法。
- 指導の型: 「見せる→やらせる→褒める」というシンプルな指導サイクルの実践方法。
- 対話の型: 「週1回15分」の面談で、部下の本音を引き出し、不安を解消する具体的な質問の仕方。
- コミュニケーションの型: ハラスメントと受け取られない、効果的な褒め方・叱り方のフレーズ例。
OJT第3の柱:『孤独にさせない』仕組みを作る(サポート体制)
研修を「やりっぱなし」にしないことが、何よりも重要です。OJT指導者を孤独にさせないための、継続的なサポート体制を会社として構築しましょう。
- 横のつながりを作る: OJT指導者同士が、月に一度集まって悩みを共有したり、成功事例を学び合ったりする「情報交換会」を人事が主催します。
- 縦のつながりを作る: 人事担当者が、定期的にOJT指導者と1対1で面談し、「何か困ってることはない?」と声をかけ、相談に乗る体制を整えます。



なるほど。研修で伝えるべきは、単なる指導スキルだけじゃない。「指導者としての心構え(マインド)」と「具体的な道具(スキル)」、そして「継続的な支援(サポート)」の3点セットが不可欠なんだな。



うん!これなら、OJT担当に任命された人も「会社がバックアップしてくれるから安心だ!」って、前向きに引き受けてくれるかも!
効果的なOJT研修のゴールは、指導スキルを教えることだけではありません。指導者の「不安」を取り除き、「自信」と「武器」、そして「仲間」を与えることなのです。
「育成の仕組み化」、プロと一緒に始めませんか?
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。 OJTを個人の頑張りに依存させることの危険性と、それを解決するための「OJT指導者研修」の重要性をご理解いただけたかと思います。
「現場任せ」から脱却し、会社としてOJT指導者を支え、育成力を組織全体の強みに変えていくこと。それこそが、これからの時代の人事部に求められる重要な役割です。
しかし、 「分かってはいるけど、こんな体系的な研修を自社で企画・運営するのは、正直リソースがない…」 と感じるのも、また現実かもしれません。
もし、あなたが本気で「育成の仕組み化」に取り組みたいとお考えなら、ぜひ一度、マナビポップ株式会社にご相談ください。
まさに今回お話ししたような、OJT指導者の「マインド・スキル・サポート」を三位一体で育む、実践的な研修プログラムを最も得意としています。
机上の空論ではない、現場の指導者たちが「これならできる!」と自信を持ってくれるような、具体的で、すぐに使えるノウハウを提供します。
現場の指導者任せの、属人的な育成から、会社全体で人を育てる文化へ。 その重要な第一歩を、一緒に踏み出しませんか?